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ひとつの産地だけでは出せない味わいへ。スペシャルティブレンドの楽しみ方。

ひとつの産地だけでは出せない味わいへ
スペシャルティブレンドの楽しみ方

スペシャルティコーヒーと聞くと、ひとつの産地や農園で育った豆だけを使い、その土地ならではの個性を楽しむ「シングルオリジン」を思い浮かべる方も多いかもしれません。 
産地ごとの気候や土壌、生産者の手仕事によって生まれる個性を楽しめることは、スペシャルティコーヒーの大きな魅力です。一方で最近では、個性豊かなスペシャルティコーヒーを組み合わせて味わう、ブレンドならではの楽しさも広がっています。 ブレンドとは、複数のコーヒー豆を組み合わせ、ひとつの味わいをつくり上げること。 それぞれの豆が持つ香り、酸味、甘み、コクなどを活かすことで、単一の産地だけでは出せない奥行きが生まれます。 
では、スペシャルティコーヒーのブレンドは、どのように味づくりされているのでしょうか。 ドリップポッドのスペシャルティブレンドシリーズを監修する農事調査室・中平が味づくりで大切にしていることから、その魅力を紐解いていきます。 

複数の個性が重なって生まれる、
スペシャルティブレンドの魅力 

一般的なブレンドには、味わいを飲みやすく整えたり、安定したおいしさをつくったりする役割があります。 一方で、スペシャルティコーヒーを使ったブレンドでは、それぞれの豆が持つ個性をどう活かし合うかが大切になります。 
シングルオリジンが「その土地の個性を味わう一杯」だとすれば、スペシャルティブレンドは「複数の個性から新しい味わいをつくる一杯」といえます。 
たとえば、華やかな香り、やわらかな甘み、味わいを支えるコク。 
異なる魅力を持つコーヒーを組み合わせることで、一杯の中に豊かな表情が生まれます。 個性をならすのではなく、個性を重ねて新しい味わいをつくる。 
そこに、スペシャルティブレンドならではの魅力があります。 

目指す味わいから考える、
ブレンドの組み立て方 

ブレンドを考えるときに大切なのは、まず「どんな味わいに仕上げたいか」をイメージすることです。

すっきりと爽やかな一杯にしたいのか。 
甘く華やかな余韻を楽しめる一杯にしたいのか。 
ミルクと合わせてもコーヒーらしさが残る、コクのある味わいにしたいのか。 

目指す味わいを描いたうえで、それに合う特徴を持つ豆を選び、配合のバランスを少しずつ調整していきます。 その際に大切になるのが、ブレンドの中でそれぞれの豆が担う役割です。 
たとえば、香りや第一印象をつくる「顔」。口に含んだときの厚みをつくる「ボディ」。味わい全体を支え、余韻の安定感につながる「ボトム」。 このように、香りの立ち上がりから後味までをひとつの流れとして捉えながら、味わいを組み立てていきます。 はじめから多くの豆を使うのではなく、まずは最小限の原料で味の軸をつくる。 そのうえで、華やかさを足したい、少し落ち着いた印象に整えたい、余韻に甘みを残したいといった細かな調整を重ねます。 
ブレンドは、足し算でありながら引き算でもあります。 必要な個性を、必要な分だけ重ねることで、一杯の完成度が高まっていきます。 

重なり合う風味が生む
新しい味わい 

スペシャルティコーヒーを使ったブレンドの面白さは、ベースとなる豆そのものに豊かな個性があることです。 果物のような爽やかな酸味、花を思わせる華やかな香り、チョコレートやナッツのような甘く香ばしい余韻。 
ひとつひとつの豆が持つ香りや甘み、酸味、コクがしっかりしているからこそ、組み合わせたときに味わいに深みが生まれます。 
たとえば、柑橘を思わせる明るい酸味を持つコーヒーに、ベリーのような果実感のあるコーヒーを重ねると、フルーティーな印象に広がりが生まれます。 そこに、チョコレートのような甘みや、ナッツを思わせる香ばしさを持つコーヒーを合わせることで、味わいに厚みや余韻が加わります。 
ひと口目に感じる香り、口の中で広がる味わい、飲み終えたあとに残る余韻。 
それぞれの豆の風味が重なり合うことで、単一の産地のコーヒーだけでは出せない新しい味わいの表情が生まれます。 
スペシャルティブレンドは、複数の個性から新しい味わいをつくる一杯。 
その奥行きを楽しめることこそ、ブレンドならではの魅力です。 

清涼感の後にお茶のほのかな甘みが広がる一杯

ブレンドを知ると
一杯の楽しみ方が広がる 

スペシャルティコーヒーのブレンドは、単に味を整えるためのものではありません。 産地の個性を見極め、それぞれの役割を考えながら、ひとつの味わいへと組み立てていくものです。 

どの豆が香りの印象をつくっているのか。 
どの豆が甘みやコクを支えているのか。 
どのようなバランスで、季節らしさや飲みやすさが表現されているのか。 

そんな視点でブレンドコーヒーを味わってみると、いつもの一杯にも新しい発見が生まれます。 
シングルオリジンのように、ひとつの産地の個性を味わう楽しみ。 
ブレンドのように、複数の個性が重なり合って生まれる味わいを楽しむこと。 
どちらも、スペシャルティコーヒーの魅力を広げてくれる大切な楽しみ方です。 

ひとつの産地だけでは出せない味わいへ。スペシャルティブレンドは、コーヒーの個性をさらに自由に、奥深く楽しむための一杯です。