DRIP POD JOURNAL

〈生産者インタビュー〉お茶を育む  


[生産者インタビュー]掛川東山地区 茶農家 松浦 永倫子さん

おいしいお茶を育むための想い

掛川の中でも私が茶園を営む東山は急斜面が多く、傾斜が20度になるところもあります。立っているだけで大変です。そのような場所は機械が入りにくいため、手作業が多くなります。
それが昔ながらの原風景でもありますが、実際にやるには苦労も多い。でもその山間地だからこそ、良いお茶ができるということもあります。霧の立つ山肌に茶樹が育ち、昼夜の気温差が茶葉の育成にメリハリを与えて味をまろやかにしてくれます。

農家の1年は子育てと同じくらい目まぐるしいです。掛川は日照時間が長いため茶葉の成長が早く、新茶の収穫の時期でも日々成長して味が変わってしまうため、一番茶の時期(4月下旬〜5月中旬)は毎日が戦いです。(笑)

茶葉は霧や霜に弱いため、摘採機に雨が降った翌朝にはブロワー(風の出る機械)で水分を飛ばしてから摘採を始め、また寒暖差がある芽吹きの時期には防霜ファンをまわし日々見回りを行っています。手をかければかけるほど、私たちの気持ちに正直に答えてくれる。だから、毎日気持ちを込めて茶葉に「ありがとう」って話しかけています。

お茶の味を決める“荒茶加工”

他の農産物と同じで、お茶も鮮度が大切です。
茶葉は摘採した時点から酸化が進むため、摘み取った茶葉はその日のうちに東山の茶工場に運んで、可能な限り新鮮な状態で「蒸す・揉む・乾燥」などの一次加工工程を経て、生葉の水分を抜き、“荒茶”が作られます。
荒茶は製品としてはまだ不完全な状態ですが、お茶の味・香り・水色(すいしょく)の特徴を決めるのにとても大切な工程。ちょっとした蒸し具合の違いが、その後のお茶のできあがりに大きく影響していきます。

そうやって日々お茶と向き合う毎日なので、お茶を飲んでいただいた方にただ純粋に「美味しい」と言ってもらえることがやりがいです。その声を聞くだけで頑張ろう…と思えます。
茶葉に私たち生産者の想いをのせて、お客様に美味しさだけでなく、お茶を飲んでホッと癒される時間や空間みたいなものが届くと良いなと思っています。

プロフィール

松浦 永倫子(まつうら えりこ)
静岡県の東山地区で5世代続く茶園を営む。
幼少期からお茶に囲まれて育ち、20年前から茶園を継ぎ日々お茶の生産に携わる。丁寧に手入れされた栽培方法はもちろんのこと、愛情をもって日々試行錯誤を繰り返しながらお茶と向き合っている。


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