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DRIP POD STORY

〈インタビュー〉お茶の可能性を引き出す

[インタビュー]赤堀商店 代表取締役社長 赤堀 浩司さん

“最高の一杯”から逆算して作った「深蒸し静岡煎茶」「静岡まろみ焙じ茶」。
素材の持ち味を最大限に引き出した茶を、
生産者の思いと共にお届けする“茶商”の役割と想いをご紹介します。

“茶商”とはどういった役割ですか?

荒茶を仕入れ、それらの持ち味を活かす味覚設計を行うことでお客様に「美味しいお茶」をお届けするのが“茶商”という職業です。
私は、昭和21年創業の「赤堀商店」に生まれ茶業に就いて40年になります。静岡県掛川市や牧之原市、それぞれの地域で生産されている茶の持ち味を活かす味覚設計から品質管理までを一貫して行っています。
私が茶業に従事した時から変わらず行っていることは、お客様が求めている茶質をヒアリングし、満足いただけるようにお茶づくりをすることです。数ある荒茶のなかから厳選した茶葉を、お客様のニーズに合わせた味や香りを引き出すために、素材の合組(ブレンド)をして形を整え火入れ乾燥させる仕上げ加工をします。
人の味覚は十人十色。お客様に美味しいと言ってもらえるお茶づくりを心がけています。

時代の移り変わりにより“茶商”として求められることも変わりましたか?

はい。私がこの仕事を始めた昭和55年頃はどの街に行ってもお茶専門店が見られました。しかし、ペットボトルのお茶の普及により、だれでも手軽にお茶を楽しむことができるようになったことで環境が変わり、お茶専門店として路面で販売するお店は少なくなりました。その分、コンビニやオンラインストアなどで手軽に購入することができますが、急須で茶葉から淹れるという伝統的なお茶を楽しむ機会は減ってきています。

赤堀さんには、2020年3月発売の「深蒸し静岡煎茶」のカプセルから監修していただいています。カプセルの開発をするにあたって、いかがでしたか?

ドリップポッドのカプセルを開発するにあたって、まずは抽出メカニズムを知ることから始まりました。急須とは異なり、ドリップポッドは約1分間で抽出が行われます。その1分間には、「湯温・抽出速度・蒸らし」などお茶を最適に抽出するプログラムが詰まっています。
そのメカニズムを知った上で、急須で淹れたような「水色(すいしょく)・香り・うまみ・甘み」を引き出す。
そのためには、茶葉の合組と、裁断の細かさが重要であるということを考えました。何十通りのブレンドのパターンとその葉を1ミリ単位で調整し裁断を行いました。それを実際にドリップポッドで抽出を行いながらテストし、持ち味を最大限に引き出し、掛川茶の個性が活きるように最適な組み合わせを考えました。
発売後たくさんのお客様に飲んでいただけたと聞き、大変うれしく思っています。

今回の「静岡まろみ焙じ茶」はどんな味わいですか?

今回の焙じ茶は、掛川産の深蒸し茶の特徴である旨みや甘さを活かし、焙じることで芳ばしい香りだけでなく、こだわりの“まろみ”が生まれました。

お茶の「まろみ」とは?

味、香り、のどごし…すべてにおいて全体のバランスが調和し、角がなく丸みを感じる味わいのことです。
コーヒーと違ってお茶というのは酸味や苦味が特徴的に出てはいけない、とても繊細な飲み物です。私は茶を作るとき、お茶を飲んだ際にゴクッと喉を通るときの味の返しがあるものを追求しています。

「静岡まろみ焙じ茶」は名前にもあるようにその“まろみ”にこだわられたんですよね。

はい。“まろみ”の目指すところは、味のまろやかさと抽象的なまるみを併せ持つ部分を表現したいと思っていました。
通常であれば、香りの引き立つ焙じ茶を設計する場合には、原料に茎茶(棒茶)といわれる茶葉の枝などを使用することが多いです。しかし、今回は焙じ茶ならではの香りだけでなく、原料が持つ味わいのポテンシャルを最大限に引き出すために、あえて茶葉を多く使用する合組、裁断を行い、低温でじっくりと丁寧に焙煎をしました。
そうすることで、原料本来の「甘み」や「まろみ」を感じられる味わいと香りを両立させることができました。火入れでは1℃の差が香りや味を左右します。ただ、そこにこだわるほど繊細な味わいになる。その結論に達するには、茶商としてのこれまでの経験と、何百回と試行錯誤を繰り返した実績があります。

「最高の一杯」から逆算されたモノづくりということですね。

どれだけ良い茶葉から、合組や火入れ、焙煎などにこだわっても、お茶は淹れ方や茶器の形状によっても味が変わってしまいます。
ドリップポッドは、抽出の時間や湯温がコントロールされているので再現性があり、誰が淹れても味に差がなく、いつでもこだわりの茶葉の味わいを引き出した美味しいお茶を飲んでいただくことができます。
今回の「静岡まろみ焙じ茶」は焙じ茶らしい透明感、香り、甘み、まろみ、水色の良さとすべてが自信を持ってお届けできる商品になったと思いますので、ぜひお茶を飲みながらホッとひと息つける時間を楽しんでいただけたらと思っています。

ありがとうございました。

プロフィール


赤堀 浩司(あかほり こうじ)
静岡の茶商。昭和21年創業「赤堀商店」の4代目社長を務める。茶葉の目利きから素材の持ち味を活かす味覚設計、美味しさを守り抜く品質管理まで一貫して行い、掛川の深蒸し茶を多くの方へ楽しんでいただくため、伝統と新たな視点を取り入れた、お茶製品の開発に取り組む。

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