JOURNAL
YOUBI開発ストーリー
【新たな体験価値をつくる】
どんな空間にも持ち運びできる「DRIP PODYOUBI」。
この新しいコーヒーの楽しみ方を具現化したデザインについて、コンセプトワークを担当したWELCOME の藏所知司さんが、デザイナーの二俣公一さんにお話を伺うインタビューの後編です。
どんな場所でも「輪」を
つくるデザイン
藏所:YOUBI のデザイン面で、やはり目を引くのはキャリーハンドルだと思います。この「持ち運びができる」という発想はどこから来たのでしょうか?
二俣:当時の最新モデルだった「DP3」※を実際に使ってみて気になったのが、キッチンに鎮座している感じでした。コンパクトな割に、ちょっと動かそうとなると面倒だなと思ってしまう。実際に仕事場に持っていったり、ダイニングに移動させたりする中で、少し不便に感じたんです。どんな場所でも「輪」をつくることができる存在にするのであれば、キャリーハンドルの存在は足がかりになると思いました。
藏所:「どこでも誰とでもシェアできる」というYOUBI のコンセプトを活かす要素として不可欠だったということですね。
二俣:とはいえ、すべての機能を収めつつキャリーハンドルを付けるデザインを成立させるには苦労しました。高機能なマシンですから、部品も非常に多く、精緻に組み上げる必要があります。また、機能だけを大事にするあまり、フラットにしすぎて「触れる」感覚が足りなくなるとモノとしての魅力に欠ける。パイピングの位置ひとつにしても、そこにある意味があると思っています。
小牧:実は、社内では本当に意見が割れました。持ち手があることも機能のレイアウトも、誰も想定しなかった構造だったので、判断がつかなかったんです。でも話し合いを重ねて、ひとつひとつが必然であることが、このデザインで行こうという決め手になったと思います。
※ DRIP POD YOUBI の一つ前のマシンモデル。2020 年1月に発売。
必然的なデザインが
もたらす「心地よさ」
藏所:細部に至るまで、この形である必然性がある。「用と美」という視点からも、普遍的なデザインという意味でも、やはり二俣さんにお願いして間違いがなかったと確信しました。巡り移ろう日々に寄り添ってくれるのがYOUBI の魅力ですが、「こう使ってほしい」というようなイメージはありますか?
二俣:自分がどう使いたいかのイメージになりますが、仕事場、家、ダイニング、さまざまな場所に持ち運ぶのはもちろん、庭でバーベキューをするときにも使いたいと思っています。電源は必要ですが、車につないで使うこともできますし。液晶パネルがキャリーハンドルの下に収まる位置にあるので、光の反射で見づらいということもないと思います。
藏所:ただ持ち運べるというだけでなく、ハンドルもまた機能を備えたデザインというわけですね。コンセプト、デザインが一体化したおかげで、新たな体験価値につなげることのできる製品になったと思います。今日は改めてお話を伺えて、より製品としての魅力を再確認することができました。ありがとうございました。
二俣:こちらこそ、貴重な機会をありがとうございました。
小牧:ぜひ、この使いやすさと心地よさを、みなさんにも感じてほしいと思います!ありがとうございました。
【Profile】
二俣 公一(ふたつまた こういち)
二俣スタジオ (KOICHI FUTATSUMATA STUDIO)
福岡と東京を拠点に空間設計を軸とするケース・リアル(CASE-REAL)とプロダクトデザインに特化する二俣スタジオ(KOICHI FUTATSUMATA STUDIO)の両主宰。国内外でインテリア・建築から家具・プロダクトに至るまで多岐に渡るデザインを手がける。
藏所 知司(くらしょ ともじ)
株式会社ウェルカム | クリエイティブ・グループ 事業開発室
ブランド事業で培った経験を活かし、さまざまな開発事業や街づくりをプロデュース。大切にしているのは、企画して終わり、つくって終わりではなく、「事業の成長に対する提案であり、形づくりである」こと。